2019.02.27

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USPとは何か? 広告不要の強いブランドになる唯一の手法。


こんにちは。

 

ビジネスシーンでよく見聞きするUSP、なんの略かわかりますか?

また、実際に説明できますか?

 

意外に難しいですよね。

わかっているという方でも、USPを浅く理解して損している方、結構多いんです。

今日はそんなUSPについてご紹介します。

 

 

 

■ 1 USPとは何か?

 

「USP」とは「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」のことで、その頭文字をとってUSP(ユーエスピー)と呼ばれます。

 

分解して直訳すると、こうです。


Unique…………………独自の

Selling…………………売り、売り込む手段

Proposition …………提案


 

語源をもとにUSPを簡単に説明するなら、「競合にはない独自の売り」ということになります。

 

これはアメリカの伝説的な広告マン、ロッサー・リーブスによって提唱されたマーケティング理論

ボールペンの「ビックペン」やミニッツメイド、M&Mキャンディなど彼が手がけたブランドは、成功を収めました。

 

ロッサー・リーブスにより『USP』という1960年代に発行された本が基になっている考え方なのですが、最近新たに翻訳され日本でも出版されています。

 

広告の主戦場がWEBに広がり誰でもメッセージを発信できるようになった現在、大企業だけでなく中小企業や個人事業主にもコピーの重要性が問われるようになり、ひいてはこのUSPという考え方がとても大切になってきていると言えますね。

 

では、リーブスの定義をもう少し詳しくみていきましょう。

 

 

 

[1]-1 ロッサー・リーブスの定義からの解釈

 

 

USPを簡単に訳すと「競合にはない独自の売り」です。USPを解説する多くの場面でも、このように説明されます。

 

でもこれだけでは足りないのです。

ここが皆がUSPを誤解し、USPを活用できていない理由なのです。

 

ロッサー・リーブスの定義を紐解くと、真のUSPというものが見えて来ます。

 

彼の定義を要約すると、こうです。

 


 

1、

広告はすべて、消費者に向けて提案するものでなければならない。

消費者目線

 

2、

その提案は競合ができないものでなければならない。

それほどユニークであるか、その分野でまだ広告されてないものであること。

独自性


3、

その提案は、数百万の人々を動かせるほど強いものでなければならない。

つまり、新規顧客を呼び込めるものであること

 → 他社にはない強烈なベネフィット

 


 

語源からの単純な解釈「競合にはない独自のウリ」に足りないのは、「顧客目線」であることです。

 

 

自分が感じる「売り」ではなく、「顧客目線」に立ち、そして、その売りの独自性とはただのメリットではなく、「唯一無二」くらいの強烈な勢いでなければならないこと!

多くの消費者を自社製品に引き寄せるくらいのものであることとは、提案だけでなく「約束」させるものであるべきなのです。

 

 

 

USPの真の定義をまとめるなら、

 

 

顧客目線に立って考えた、お客様への強烈なベネフィット提案。お約束。

 

ということになります。

 

 

[1]-2 USPと広告コピーの違い

 

USPは、「顧客目線に立って考えた、お客様への強烈なベネフィット提案。お約束」なので、言ってみれば自社でのマーケティングコンセプトです。

 

キャッチフレーズは商品を売り出す時の惹句です。

USPを基に表現される生活者に対しての惹句、つまり引きのある言葉の表現。

少し表現が入ったり、煽ったりすることもあります。

 

 

USPは、自己規定に近いものなので、言葉の表現は要りません。端的でシンプルでわかりやすいことが求められます

ただ、「他社にはない」「ユニークな」「独自の」「売りの提案」なので、シンプルにつくっても言葉自体は強くなることがあるかと思います。

 

 

だから、USPをキャッチにしてしまおう!ということも往往にしてあります。

 

関係性としては、USPが土台としてあって、キャッチフレーズはそのUSPに沿っていることが前提というわけですね。

キャッチフレーズに限らず、商品ショルダーコピー、キャンペーンスローガンなどなどのすべての広告コピー、もっと言ってしまえば広告戦略はこのUSPに則っている必要があるのです。

 

勘違いされやすいので最後にもう一度言いますが、USPは端的に。

コンセプトが明確にわかるものであればよくて、飾りはいらないのです。

 
 
 
 

[1]-3 USPはなぜ大事なのか?

 

USPは、「顧客目線に立った競合にはない独自の売り」であり、「自分にしかできないお客様への約束」でもあるので、これが明確に定義されていれば、極論、広告は不要になります。

 

「この商品を手にすれば、あなたにとってこんなベネフィットが手に入ります!」という約束。

そして、それがユニークであり、他の商品では叶わないことなのですから、お客様が求めるのは当然ですよね。

 

 

またUSPは、コンセプトであるとも言えるし、自己規定でもあるともいえます。

顧客目線からみた独自の強みを規定したもの、商品が市場に存在するアイデンティティです。

 

自己規定がしっかりすると、すべての戦略が一貫したものになります。プロモーション、広告宣伝、販売……マーケティングに関する全体戦略に筋が通ってきます。

「顧客目線に立った競合にはない独自の売り」が明確にされたコンセプトのもとで行われるのですから、その戦略がうまくいくのは想像できますよね。

 

 

つまり、USPを見つけることは成功するビジネスの第一歩。

ロッサー・リーブスもUSPを「売り上げに直結させる絶対不変の法則」だと唱えています。

ちゃんとUSPを見つけることができたら、顧客のファン化や売り上げアップに確実に繋がっていきます。

 

 

 

■ 2 USPの成功事例

 

USPの成功事例をみていきましょう。

 

前述した通り、USPは広告コピーではないので、基本的には表には出てきません。

 

下記に取り上げる例はどれもキャッチフレーズとして世に出てきたものですが、これはUSPがそのままキャッチフレーズとなったパターン(多少の味付けはあるにせよ)だと推測されるため、ご紹介しています。

 

 

[2]-1 ドミノピザ

まずは、USPの成功事例としてよく取り上げられるドミノピザから。

 

「熱々でおいしいピザをお宅まで30分でお届けします。間に合わなければ代金はいただいきません。」

 

これはキャッチフレーズとして使われていたものです。

他にも30分以内に宅配してくれるピザ店はあったのですが、ドミノピザが業界に先駆けて明確に「30分以内にお届け」を掲げました。

 

こうして、素早い宅配ピザといえば「ドミノ」という公式を作り上げてしまったのです。

 

熱々が命、冷えると美味しくなくなってしまう宅配ピザの不満とニーズを捉えた、秀逸なUSPだったと言えます。

 

 

[2]-2 ダイソン

 

 

「吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機」

 

ダイソンは、このUSPで一躍掃除機界のトップブランドに躍り出ました。

 

各社さまざまな機能で闘っていた掃除機業界に、「掃除機の機能といえば吸引力でしょ」というシンプルな訴求で他社との差別化を強烈に図ったダイソン。

 

圧倒的なメッセージ、そしてそのメッセージにふさわしい主張の強いデザイン性で掃除機の中での強いブランドを確立しました。

 

 

[2]-3 ライザップ

 

「結果にコミットする」

 

 

ライザップといえば、完全マンツーマンの最短2ヵ月で結果を出す肉体改造ジム。そして、結果に満足できなければ「30日間の全額保証」をつけた、成功保証方式のジム。

 

それまでにパーソナルジムや痩身エステサロンは数多あったわけですが、ライザップのように結果を保証してくれるところはなかったわけです。

 

ダイエットにおいて一番の敵が、目標前の挫折。つまり三日坊主。ダイエットをしたい多くの人々のニーズを掴み、いちはやく成功保証をUSPとしたわけです。

 

 

 

以上、3つのUSPを紹介しましたが、どれも顧客目線に立ったときに、喉から手が出るくらい欲しいものを提示していますよね。

 

お客様が心から欲しているものは何なのか、を考えること。

そして、他社がやっていないオリジナルなことであること。

 

これが、USPの外せない2つのポイントなのです。

 

 

 

■ 3 USPの注意点 ーチューニングすることー

 

USPはつくったら終わり、ではありません。時代に合わせてチューニングしていく必要があります

 

先ほどの成功事例3つを思い出してもらうとよくわかるのですが、圧倒的存在だったドミノピサにも、ダイソンにも、ライザップにも、同じような機能を持つ競合が現れているからです。

 

どこの宅配ピザも大体30分以内で届き、吸引力の強いサイクロン式の掃除機は国内メーカーでも目立つようになり、ライザップに追随するように成功保証型のジムが出てきています。

 

逆にいえば、業界からしたら当たり前のことでも声高に発することで他社製品から抜きに出ることも可能なのです。

ロッサー・リーブスはこのことについて、「USPの先取りの原則」とし、この重要性を伝えています

 

 

例えば成功保証型のジムが数々誕生したとしても、世間の人の「成功保証型ジム=ライザップ」の公式はなかなか崩れません。

 

選択肢に入ることができれば、吟味されて後発のジムでも選ばれることがあるかもしれませんが、ライザップに勝るマーケティング戦略を打たない限り選択肢に入ることもまず難しくなります。

 

他社に先駆けてUSPを見出して発信することで、その業界でオンリーワンの地位を確立することが大事なのです。

 

 

 

■ 4 USPのよくある失敗

 

USPのよくある失敗として、自分目線でメリットを考えてしまうこと。

自分ではすごくメリットに感じても、他の人から見たらまったく刺さらないということがあります。

 

例えば、天然鮭の専門店があったとします。

特徴はこんな感じだったとします。

 


【とある天然鮭の専門店の特徴】   ※架空のお店です

 

●北海道産の天然鮭やアラスカの天然キングサーモン、

   高級鮭「トキシラズ」なども揃え、世界中の鮭を堪能できるお店。

 

● 養殖の鮭が多い中、天然モノにこだわる。

  ゆえに美味しさだけでなく、アスタキサンチンが豊富で健康や美容によい。

 

●刺身や塩焼き、フライなどさまざまな調理法が楽しめる。

 

●メニューはなく、そのときに入った旬の鮭とお好みの食べ方をオーダーすれば、

  あなただけのメニューが出てくる。市場スタイル。

 

● 鮭だけでなく、筋子やいくらなども取り揃えられ、まるごと鮭の美味しさをいただける。

 

● 特許申請中の特殊な保冷技術で、鮮度のピークを保った状態でお客様に提供できる。

 

● 店内は鮭からヒントを得た、ピンクの店内。


 

 

ここの店主がUSPを見つけようと思ったとき、うちのお店は「特許申請中なくらい保冷技術がすごい。これをまずは言いたい。」という思いがあったとします。

 

これをメインの訴求でUSPをつくるのは、正解でしょうか?

 

答えはノーです。

 

一般生活者にとって、特許申請中の保冷技術などある意味どうでもいいことです。

その過程はどうあれ、美味しいものが出てくればいいのですから。

 

 

お客様目線に立ったときに、一番のメリットであり、一番の独自性になることを訴えるべきなのです。

 

 

ここでは、「鮭専門店」をUSPの軸に置くべきです。

鮭は、好きな魚介類ランキングでマグロに次いで第2位※。

「鮭の専門店」を訴えるだけでも、集客はできると思います。

 

ただ、鮭の専門店はすでに何店舗か出ているので、もう少し独自性を出したいところ。

 

たとえば、「天然鮭」にこだわっていることも添えると、USPは、

 

「からだにもおいしい天然鮭専門店」

 

となります。

 

または、「あなた好みの調理法をしてくれる」という要素はなかなかないところなので、

これをUSPにしてみると・・・

 

あなた好みに食べられる鮭専門店」

「わたしだけの鮭専門店」

「鮭好きのための天然鮭専門店」

 

 

なんていうフレーズができてきそうですね。

 

 

もう少し振り切って、女性ターゲットにしてみると

 

おいしく食べる「アスタキサンチン」専門店

 

 

というUSPにもできます。

 

 

以上は例です。

 

USPをどこに見出すのかによって、店舗設計も顧客層もまったく違うものになりますね。

 

いずれの場合も、出店店舗の商圏に競合となりそうなどんな店舗があるのかをリサーチして、その商圏の中でオンリーワンになるよう設定すること

 

そして、顧客目線に立ってお客様にとって何が一番のメリットかを考えること。

この2つのを考え抜いてUSPを見つけ出すことが大切なのです。

 

 

ちなみに、もうひとつのよくあるUSPの失敗として「うちのお店は全部がすごい。全部を言いたい」という思いから、全部を盛り込んでしまうパターン

結局ありふれたメッセージになってしまい、何も伝えられないということがあります。

 

USPを考えつときに、自分目線になっていないか、これを注意してみてください。

 

独りよがりのまったく検討外れのUSP、実際の現場でもよく目の当たりにします。自分目線の視野の狭い思考で考えると、顧客目線に立った本当のUSPは見出せないものです。

 

 

*出典:「TBS 総合嗜好調査 2015」

 

 

 

■ 5 USPのつくり方

では、最後にUSPのつくり方をみていきましょう。

 

あらためてお伝えするとUSPとは、

「顧客目線に立った、競合にはない独自の売り」であり、

「ウチだからできるお客様との約束」です。

 

USPをつくるときの大事なポイントをおさらいすると、

 

お客様が心から欲しているものは何なのか?

そして、他社がやっていないオリジナルなことは何なのか?

 

この2つを外さないようにすることです。

 

 

[5]-1 穴埋め作文にあてはめてみる

 

では、早速実作業です。

以下の穴埋め作文を埋めてみてください。


この商品(サービス)は/私たちは、

◯◯◯◯◯◯◯◯(対象となるターゲットを設定)にとって

◯◯◯◯◯◯◯◯◯な商品を(ベネフットを伝える)提供することを約束します。

これは◯◯◯◯◯(競合にはないことを伝える)にはないものであり、

私たちだけのものです。

私たちがこれを行う理由は、

◯◯◯◯◯(自分たちがこのビジネスをやる理由を伝える)だからです。


 

まずは全要素が入っていることを確認してから、これを短くシンプルに表現していきます。

 

最後の一文は、他社がやっていないオリジナルなことをなぜやるのか、ということ。これがあると、ストーリーが生まれ、オリジナルな要素が強くなり、ブランド化につながりやすくなります

 

 

例えば、穴埋め作文をライザップで考えてみましょう。


このサービスは、

ダイエットに何度もチャレンジしてもなかなか成功しなかった方にとって

徹底的なマンツーマン指導により最短2カ月で、

目標サイズの肉体改造を叶えることをお約束します。

この結果へのコミットメントは、他者にないことであり、私たちだけのものです。

私たちがこれを行う理由は、目標を叶えたことによって自信をつけていただき、

「人は変えられる」ことを証明したいからです。

 

これはライザップ社長の瀬戸健自身が、

高校時代に付き合っていた彼女のダイエットをサポートして成功させ、

見た目だけでなく性格まで明るくなった経験から、

多くの人に同じように自信をつけて人生を明るく変えて欲しいという思いがあるからです。


 

となります。

 

これを、余分をそぎ落とし、究極に短くしたのが「結果にコミットする」というUSPにつながっています。

 

 

[5]-2 USPのためのあなたの質問に答えてみる

 

穴埋め作文の前に、USPの要素を見つけ出すのが難しいという場合もありますね。そんなときは、以下の質問に答えてみてください。

 

USPとなる要素を見つけ出すヒントになってくれるはずです。

 


〈お客様への問い〉

 

■お客様がその商品を買った理由はなに?

■その領域の中でお客様がいま困っていることは何?

※できるだけたくさん挙げてみてください

■その中でも一番困っていることは?

 

 

〈自分への問い〉

 

■その商品やサービスを売る理由は?

■その商品を好きだと思えるか?

■その商品に一生関わってもいいと思えるか?

 

〈競合を想定しての問い〉

 

■ライバルと思われるモノをすべて挙げてください

■ライバルの強みを挙げてください

■その強みをもっと極端にするとどうなりますか?

■ライバルよりも自分が勝っていると思うことを挙げてください

■ライバルの強みは何?

■そのライバルの強みを裏返すと?

■その業界の常識は何?

■その業界の常識を裏返すと?


 

■ 6 まとめ

いかがでしたか?

今回はUSPについてお伝えしてきました。

最高のUSPを見出して、ビジネスを加速させましょう!