2019.03.18
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コンセプトとは!?正しい意味と事例・実例をわかりやすく解説
目次
■ 1 コンセプトの意味とは、“創造されたものの全体を貫く視点や発想→取り組みのための新しい実行原理”
■ 2 コンセプトの例を解説
[2]-1 商品コンセプト
[2]-2 企業コンセプト(企業スローガン)
[2]-3 マーケティングコンセプト
[2]-4 施設・店舗コンセプト
■ 3 コンセプトは機能説明から企業・事業行動の中心的考え方へ。
■ 1 コンセプトの意味とは、“創造されたものの全体を貫く視点や発想→取り組みのための新しい実行原理”
「この商品のコンセプトは…」「コンセプトが気に入っているんだよね…」「秀逸なコンセプトだなぁ…」「コンセプトが重要だ!」。仕事柄よく見聞きする“コンセプト”なるフレーズの数々。その具体的な意味や役割は、わかっているようで、実は意外と曖昧だったりしませんか?
辞書で調べてみると、「1.概念。観念。 2.創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。」とあります。これではちょっとわかりにくいですよね。
商品にせよ、サービスにせよ、企業にせよ、ブランドにせよ、コンセプトの意味とはズバリ“創造されたものの全体を貫く視点や発想→取り組みのための新しい実行原理”です!
言い換えるならば、ビジネスの未来への道しるべとなり、Dos(やるべきこと)やDonts(すべきでないこと)の判断基準であり、顧客への明確なイメージ戦略であり、ステークホルダーの中でのコンセンサスだとも言えます。
“コンセプト”などの理念型ことばについてはこちらの記事「ビジョン、ミッション、バリュー、コンセプト・・・。これからの理念経営のやり方 Part1. 徹底解説篇」で詳しく解説していますので、気になる方は合わせてご覧ください。
■ 2 優れたコンセプトの例を解説
今回は“コンセプト”について、よりわかりやすいように「◯◯のコンセプト」として、その事例を紹介します!例えば商品/サービスのコンセプト、企業コンセプト、店舗のコンセプト、イベントのコンセプトなどなど。実例を参考にビジネスにおけるコンセプトの本来の意味や効果について見ていきましょう。
コンセプトとは「創造されたものの全体を貫く視点や発想→取り組みのための新しい実行原理」と言いました。それは商品、サービス、企業、施設・店舗、イベントなどからAKB48のようなアイドルまで、ありとあらゆる存在にとって効果を発揮します。
逆に言ってしまえば、コンセプトなきものには、いくら画期的なアイデアや革新的な技術があったとしても、その魅力を最大化することはできないでしょう。
まずは最も代表的なコンセプト例として「商品コンセプト」について見てみましょう。
[2]-1 商品コンセプトとは〜COGY〜
商品コンセプトは、コンセプト本来の意味で言えば“新しい実行原理”< “全体を貫く新たな視点や独自の発想”だと言えます。
エンドユーザーから見た価値を物語るものであり、そこには新鮮な情報や生活提案がなければいけません。
しかし、現代は情報も技術その他のベネフィットは均質化し、競合との差別化が難しい時代です。某グローバル飲料メーカーでは、年間に約100種類の新商品が市場に投入されています。
このような時代だからこそ、独自のコンセプトによって、商品にプラスアルファの価値を与えられるかが重要です。極端に言ってしまえば「商品の差はコンセプトの差」と言っても言い過ぎではないはずです。
皆さんは「COGY(コギー)」という車椅子をご存知ですか?
〜コギーとは、自転車のようにペダルがついた「足こぎ車いす」です。車いすにペダル?足が思うように動かせないから車いすを使うのにペダルをどう漕ぐの?そう感じた方も多いのではないかと思います。
私たち人間には、脳や脊髄の中に歩行機能の神経回路があります。何かしらの疾患が原因で歩行に障害を抱えた方は、この神経回路が動かなくなっています。しかし、足こぎ車いすにのってペダルを漕ぐことによって、足から感覚情報などが脊髄に伝わり、脊髄反射がおこります。あるいは、脊髄の中にペダルを漕いだり歩行したりするための歩行中枢のようなものがあって、これらがうまく刺激されます。
このような反射や刺激によって、普段は動かない足が動くのであろうと考えられています。つまり、脊髄内の反射弓(反射の神経回路)や歩行などのリズム運動を発生させる脊髄の神経回路網を含む中枢性神経回路網がペダルを漕げることに関与している可能性が大きいと考えられます。
足こぎ車いすは、失ったと思い込んでいた「力」が自分の体にちゃんと備わり続けていると気づかされ「あきらめが希望に変わる」を“実感” “共感” “体感”した応援者たちによって支えられている車いすです。〜
【以上、HPから抜粋】
この自転車のようにペダルがついた足こぎ車いす「COGY」のコンセプトは、“あきらめない人の車いす”です。車いすといえば、機能性、耐久性、重量、デザイン、価格などさまざまな差別化要素があるかと思いますが、「COGY」の場合は、独自のコンセプトによって全く新しい視点での差別化がなされています。2014年には「JAPAN Venture Awards2014 経済産業大臣賞」を受賞し、今なお多方面から大きな注目を集めています。
[2]-2 企業コンセプト(企業スローガン)とは〜パナソニック〜
企業コンセプトは商品コンセプトとはまた少し異なり、“取り組みのための新しい実行原理”としての意味合いが強くなります。より具体的に言えば、「企業の目指すべき方向を示す全体的な指針となり、企業内部からしっかりとを支え、事業、活動、コミュニケーションのコアとなる考え方」です。
企業コンセプトは内部に対するだけの言葉ではなく、外部(顧客・IR)への言葉でもあります。社内外ツーウェイに対して、企業の生き方、生きる意味、何をもたらし、何を約束するのかを示し続けるのが企業コンセプトです。
企業コンセプトは企業理念とは異なります。一貫して変わることのない企業理念に対し、企業コンセプトは時代の雰囲気、顧客の意識、市場の状況などによって変化します。それはツーウェイにおいて企業の方向性を発信し、共感を得るというコミュニケーションワードとしての意味も大きいからです。
今年2018年に創業100周年を迎えたパナソニックは、2013年に企業コンセプトを『A Better Life, A Better World』に刷新しています。それまでの企業コンセプトは「ideas for life」(2003年5月〜)でした。
新企業コンセプトはパナソニックグループの今後目指していく姿、方向性を一言で表したものと説明しています。これまでフォーカスしてきたBtoCの事業領域に加え、BtoBも含めた顧客一人ひとりにとっての「より良いくらし」の追求や、地球環境への貢献などを通じた「より良い世界」の実現に貢献していくというメッセージが込められています。
このようにパナソニックは創業100周年を機に、新企業コンセプトによって“今後の取り組みのための新しい実行原理”を宣言したんですね。
[2]-3 マーケティングコンセプトとは〜sansan〜
マーケティングコンセプトとは、市場に企業をどう位置付けていくか?顧客のどのようにアプローチしていくか?など、ビジネスを有利に進めていくための市場や顧客への考え方を表すものです。
例えば
アサヒビールの“キレ+コク”といったプロダクト志向
や
資生堂の“一瞬も一生も美しく”といった顧客志向
や
サントリーの“水と生きる”といった社会志向
など、市場における存在感と顧客との関係性を強めるためには欠かせないコンセプトです。
クラウド名刺管理サービスを提供するSansanもユニークなマーケティングコンセプトで成長を続けている会社です。「早く言ってよぉ〜」と名刺管理がずさんな上司に部下が泣かされるあのCMの企業です。“名刺を企業の資産に変える”という明確なコンセプトのもと、単なる名刺管理以上のサービスを提供しています。
「名刺管理以上のサービス」。それは顧客にとって「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」という新たな価値提案に他なりません。
企業コンセプトが持つ“取り組みのための新しい実行原理”としての働きとその先にある“営業チャンスの拡大”“生産性向上”“組織内コミュニケーションの円滑化”といった具体的なベネフィットによって、名刺管理サービスシェア81%、導入企業7,000社という成果をあげています。
[2]-4 施設・店舗コンセプトとは〜金沢21世紀美術館〜
美術館や音楽ホールなどの文化施設や〇〇ミュージアム、動物園、水族館、ショッピングモールやオフィスビルなど、すべての施設や店舗、ディベロッパーにとって集客は経営における一番のテーマです。その際、人々や社会とどのような接点を持ち、どのような関係性を作っていくのか、ということが特に求められてきます。
このような関わりの中で各々はどのような存在感を打ち出していくのか?一人ひとりの暮らしに何をもたらしてくれるのか?つまり、“施設・店舗による新しい生活シーンや暮らしの提案”こそが施設・店舗コンセプトです。
皆さんは「金沢21世紀美術館」には行ったことがありますか?敷地内に入れば自然と感じる開放感と心地よさ。美術展示を中心にした、いわゆる普通の美術館にはない雰囲気です。
実はこの体感こそがコンセプトによるものであり、金沢21世紀美術館たる所以なのです。金沢21世紀美術館は『まちに開かれた公園のような美術館』をコンセプトに「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」をミッションに掲げています。
『まちに開かれた公園のような美術館』だからこそ、そのデザインも訪れる人々やまちとの理想的で合理的な関係を体現しています。施設の三方すべてに入り口を設け、各施設は水平性を意識したレイアウトに。外壁や建物内の壁面の多くにガラスを採用することで「透明であること、明るいこと、開放的であること」を演出しています。
ミッションステートメントもコンセプトに則った「まちと、まちに生きる人との共生」を意識した優れたものになっています。
1.世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
金沢21世紀美術館は、世界の同時代の美術表現に市民とともに立ち会う美術館です。私たちのこの時代には、時間や空間を超え、従来のジャンルを横断する、様々な表現が現れてきています。これらの芸術活動にじかに触れ、体感することで、地域から、未来の創造への橋渡しをします。
2.まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館
21世紀の美術館には、教育、創造、エンターテインメント、コミュニケーションの場など、新たな「まちの広場」としての役割が期待されています。市民や産業界など様々な組織と連携を図り、全く新しい美術館活動を展開します。
3.地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館
藩政期から伝わる、工芸をはじめとする地域の固有文化が、多様化する21世紀にどのような可能性を持つのか、インターカルチュアルな視点に立って問いかける実験の場となります。
4.子どもたちとともに、成長する美術館
未来の文化を創り出す子どもたちに開かれた教室として、見て、触れて、体験できる最適の環境を提供します。子どもの成長とともに美術館も進化し、時代を超えて成長します。
【以上、HPから抜粋】
日本には約440の美術博物館*があり、スケールの大きさや展示内容ではなかなか差別化できません。しかし、金沢21世紀美術館は『まちに開かれた公園のような美術館』という独自のコンセプトのもと、老若男女を問わず訪れた人へ唯一無二の提案を続けています。
*「社会教育調査(文部科学省)」より
一人一人の暮らしや生活シーンに何をもたらしてくれるのか?実際にその地を訪れて、観て、感じ、体感してみたくなるとても優れた施設コンセプトだと言えるでしょう。
■ 3 機能説明から企業・事業行動の中心的考え方へ。コンセプトに求めるものは変化してきている
これらの優れたコンセプトを見てもわかるように、現代におけるコンセプトの役割は企業、商品、サービス問わずとても重要になってきていることがわかりますね。
戦後復興と高度経済成長の中、日本独自の技術や考え方は特に製造業においていわゆる“メイド イン ジャパン”ブランドとして大きく躍進しました。技術・テクノロジーが日進月歩で進化し、独自性や優位性、オリジナリティが次から次へと生まれてきたこのような時代ならば、コンセプトは単にその機能を説明するだけで事足りたはずです。
しかし、現代。時代は大きく変わり、同時にコンセプトに求められる役割も変化してきています。
21世紀、コンセプトは前時代的な機能説明の言葉から、企業・事業行動の中心的考え方の象徴になりました。
つまり、競合との明確な差別化ポイントであることはもとより、企業・事業行動の判断基準であり、顧客との間において交わす約束であり、未来への意志表示を言語化したものでもあるのです。そしてこのようなコンセプトへの新たなニーズは今後さらに加速していくことでしょう。
いかがでしたか?
今回はコンセプトについてお伝えしてきました。
ご紹介した事例でもある通り、コンセプトとは今目の前にある商品やサービス、企業活動についての単なるトリセツではありません。“創造されたものの全体を貫く視点や発想→取り組みのための新しい実行原理”です。
コンセプトの必要性に企業の規模や業種は関係ありません。誰に対しても平等に、直面する課題の解決や顧客との新たな関係づくりのために、コンセプトは大きな力を発揮します。
ぜひ、みなさんのビジネスにもコンセプトの働きを大いに役立ててみてください。