2018.10.04

| Branding

ビジネスを一気に加速させる!
優れたブランドコンセプトの働きと作り方を徹底解説!


こんにちは!

今回は「ブランドコンセプト」について、詳しく解説していきたいと思います。
世の中には数々のブランドがあふれていますが、皆さんのよく知る優れたブランドには必ずと言っていいほど、優れた「ブランドコンセプト」が表裏一体となって存在しています。むしろ「ブランドコンセプト」なきブランドには意味も価値も未来もないと言っていいでしょう。


では、「ブランドコンセプト」はなぜそんなにも大事なのか?どのような役割を担い、何をもたらしてくれるのか?1つ1つ見ていきましょう。

 

 

■1 「ブランドコンセプト」とは、ブランドの目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現したもの


「apple」「無印良品」「NIKE」「ダイソン」など、皆さんもよくご存知の有名ブランドは数あれど、意外と知られていないのが「ブランドコンセプト」です。かと言って、決して存在していないわけではありません。


実はこの「ブランドコンセプト」こそがブランドを支え、いつ何時もそのブランドをブランドたらしめているのです。

それでは「ブランドコンセプト」とは何なのでしょうか?辞書によればおおよそ「概念」となっています。でもそれではまだよくわかりませんよね。

 

ズバリ言うと、「ブランドコンセプト」とは【ブランドの目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現したもの】に他なりません。

 

■2「ブランドコンセプト」は4つの効果をビジネスにもたらしてくれます

【ブランドの目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現したもの】と定義される「ブランドコンセプト」ですが、その使命は“課題を解決すること”にあります。

「集客力を高め、売上を上げたい」「サービスの認知を広めたい」「自社の好感度を高め、より良い人材採用につなげたい」「ブランドイメージの刷新と顧客層の拡大を図りたい」など、事業継続のためにはさまざまな課題に直面します。

その際、「ブランドコンセプト」は課題の解決のための原理・原則となり、行動の指針を示し、ブランドの本質を保ちながら、ビジネス全体を動かす「推進力」を与えてくれるのです。

 

2-1 「ブランドコンセプト」の働き①〜力を束ねる〜


ブランドの目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現した「ブランドコンセプト」には、大きく4つの働きがあります。

まず1つ目の働きは「力を束ねる」。優れた「ブランドコンセプト」は力を一点に集中させます。その結果、ビジネスに大きな推進力を与えてくれるのです。


例えば、1980年代にキャンプ事業をスタートさせ、現在では一大アウトドアメーカーとなった“snow peak”をご存知でしょうか?彼らのコンセプトは「自らもユーザーである」ということ。テントやクッカーなどアウトドアギアの作り手であると同時に、顧客と同じような野遊びマインドと自然志向のライフスタイルを何よりも大切にしています。

 

さらにはその徹底したユーザー思考の象徴として新潟県燕三条の本社と北海道〜九州の日本全土で、お客様とスタッフが出会い、語り合えるキャンプイベント“Snow Peak Way”を実施しています。その結果、多くのアウトドア愛好家から愛されるブランドを築き、巷では“ピーカー”と呼ばれる熱狂的なファンも存在するほどです。


「自らもユーザーである」という明確なコンセプトのもと、プロダクト、サービス、コミュニケーションすべてにおいてsnow peakブランドの力を一点に集中させ、最大化して発信している好例だと思います。

 

2-2「ブランドコンセプト」の働き②〜在り方を決める〜

 

2つ目の働きは「在り方を決める」。コンセプトは企業や事業、商品、サービスの在り方を決めます。世の中にとってどのような存在なのか?どのような存在であるべきか?ブランドのポジショニングを明確にします。

今や世界でも知らない人はいない“google”のコンセプトであり使命はこうです。“世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること”。そのためにはインターネット上にある膨大な情報の中から、知りたい情報を指し示す検索エンジンだけでは使命は果たせません。


googleのサービスは多岐にわたり、mapナビゲーションや翻訳、google Home、VRデバイスとサービス、SNSや通信など60以上にも上ります。一見すると脈絡の無いサービスの乱発にも思えますが、その裏には世の中にとってgoogleはこう在るべきという明確なブランドコンセプトが存在し、その実践に他ならないのです。


2-3「ブランドコンセプト」の働き③〜行動を指示する〜

 

3つ目の働きは「行動を指示する」。良い「ブランドコンセプト」は現在から未来にかけて何を行動すべきかを喚起し、指示します。

例えば“結果にコミットする”で有名な“RIZAP”は2012年に1号店を開業して以降、5年間で7万人以上が利用し、店舗数は海外を含めて100店舗超と成長を続けています。そのRIZAPは近年、ゴルフスクールや英会話レッスン「RIZAP ENGLISH」、料理教室「R-COOK」などの新規事業を拡大しています。


ゴルフはともかく、英会話や料理事業は当初のボディメイクからはかけ離れているようにも思えますよね。しかしここにも「ブランドコンセプト」の働きが関係しています。



RIZAPのコンセプトは“「人は変われる」を証明する”です。完全個室のプライベートレッスンで大躍進を果たしたRIZAPが次の一手を考えた時、この「ブランドコンセプト」の「行動を指示する」機能が力を発揮し、新規事業展開を促進し、自己投資産業と呼ばれる市場において、RIZAPは今なお成長を続けています。

 

2-4「ブランドコンセプト」の働き④〜価値を最大化する〜

 

4つ目の働きは「価値を最大化する」。これが「ブランドコンセプト」の最も大事な働きです。企業や商品が持つポテンシャルをすべて引き出し、世の中に対しブランドの価値を最大化します。それはブランドに関わる人たちに可能な限りの幸福をもたらすことだとも言えます。

私の大好きなブランドの1つ、「NIKE」はその理念でありコンセプトに“世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションを”と掲げています。もちろんデザインの革新性やテクノロジーの高さもNIKEブランドの価値を高めていることは違いありません。



しかし何よりも、世界のトッププロから週1のファンランナーまで、すべての人にスポーツの喜びと幸福を保証しようという、ブランドの本質とも言える姿勢を表現したこのコンセプトこそが、NIKEブランドの価値を最大限にまで高め、自らを見事に輝かせているのだと思います。

 

■3 優れた「ブランドコンセプト」のつくりかた〜4step&その前に〜

 

3-1 「ブランドコンセプト」をつくるその前に 〜“わかりやすく明解で、なおかつ短く”を意識する〜

 

それでは具体的に「ブランドコンセプト」をつくっていきましょう。とその前にコンセプトづくりのポイントについて触れておきます。

まず“つくる”と言っても実際にはコンセプトは“発見するもの”と言ったほうがいいかもしれません。なぜならコンセプトには新しい視点や切り口、ユニークさ、新鮮さが大切だからです。今まで通りの思考の先に導き出されたコンセプトにはどうしても新しさは感じにくいものです。実はひょんなことから見えてきた気づきや発見のほうが優れた「ブランドコンセプト」をつくるヒントになります。

また、コンセプトは“わかりやすく明解で、なおかつ短く”を意識してください。わかりやすく明解とは、できるだけ突き詰めた狭い概念と具体的な言葉による表現ということです。

よく見かけるコンセプトで、どんな企業やサービスでも言えるゆるい概念的な言葉や、雰囲気だけのキャッチフレーズ風なものがありますが、これらはコンセプトもどきで、「ブランドコンセプト」の働きを果たすことはできません。

さらにコンセプトは記憶に残ってこそ力を発揮するものです。そのためできるだけ短く、できれば20文字以内が理想的です。

 

3-2 step1 現状分析をしよう〜客観的な事実のリサーチ〜

 

コンセプトを考える上での基礎情報として、企業、事業、商品、サービスに関わる客観的事実を徹底的にリサーチしていきます。


リサーチの項目は以下が一般的な基本要素です。
◎社会環境分析-世の中の動き/トレンド
◎市場分析-市場規模/シェアなど
◎顧客分析-年齢/性別/消費傾向(何をどこで買っているのか?)
◎商品分析-特徴/強み弱み
◎自社と競合分析-市場でのイメージは?ブランドコンセプト比較
◎コミュニケーション分析-認知度/好感度/印象は?

範囲は膨大ですが、これらの基礎情報が多ければ多いほど、step3の「発見」とstep4の「言語化」でのアイデアや組み合わせに結びつきます。また情報量が多いほど全体像を俯瞰しやすく、正確な判断や見落としや新たな発見につながっていきます。

 

3-3 step2 インサイトを読む〜主観的な真実を探る〜

 

Step1の客観的な事実の分析が終わったら、今度は時代を洞察し、主観的な真実を探っていきましょう。

ターゲットと想定する人の
◎行動
◎意識
◎深層心理/サイレントマジョリティ(皆が口には出さないけど思っている「不満・悩み・願望」)
の3つを、想像力を働かせながら、コンセプトを考える上でのヒントとして情報化していきます。

行動・意識・深層心理/サイレントマジョリティにおけるトレンドや変化、ニーズ/ウォンツなどです。Step1の客観的な事実とは異なり、ここで探るのは不定形でオリジナルな情報です。想像力を存分に働かせながら、じっくり根掘り葉掘りリサーチしてください。

私もよくやる方法ですが、もしあなたの周りにターゲットとしたい人がいるならば、その人に話を聞いてみるのも有効な手段です。友達、家族、同僚など、どんどん対話してみてください。ターゲットインサイトを考えるにあたっては、何にせよ本人に聞くのが一番です。

 

3-4 step3 「ブランドコンセプト」発見のために組み合わせる

 

コンセプトは発見するものと書きましたが、何もないところからやみくもに探し当てるということでは当然ありません。step3ではこれまでに集めた情報をヒントにブランドの新たな価値やターゲットとの関係を発見していきましょう。

発見のためのヒントは“情報の組み合わせ”です。Step1とstep2で、ブランド周辺の基本情報やターゲットのインサイト、サイレントマジョリティなどの全体像がぼんやりと見えてきているはずです。これらの要素をじーっと眺め、組み合わせてみましょう。

ポイントは
◎新たな関係がつくれないか?
◎新たな視点や切り口はないか?
◎これまでの意識や発想や概念を創り変えるヒントはないか?
といったところです。

組み合わせ方にもちょっとしたコツがあります。例えば目の前に広がる情報を
・違うジャンルの何かに例えてみたり
・極端に捉えてみたり
・前提を捨ててみたり
・カテゴリーや常識、時代をズラしてみたり
・絵や写真など、見える化してみたり

などです。
このような組み合わせの中で発見したブランドの新たな価値は「ブランドコンセプト」の大きなヒントになってくるはずです。

 

3-5 step4 「ブランドコンセプト」の言語化

 

最後のstepが「ブランドコンセプト」言語化です。Step1〜3で形づくってきた「ブランドコンセプト」のイメージがいよいよフレーズとなってきます。

しかしココが最後にして最大の難関といっても過言ではありません。なぜなら、この言語化の作業には確固たる方法論がないからです。

コンセプトとは情報の組み合わせと論理の積み重ねの先に導き出された、新しい視点を持った言葉です。そしてその総仕上げに必要なのが“クリエイティブジャンプ”とも言える作業になります。ポイントは「問題解決の新しい視点を探ること」。

どんなクリエイティブ作業も、情報を集め、整理し、問題点と問題解決の視点を探ることからスタートします。

「ブランドコンセプト」の言語化も同じです。今までに洗い出された情報を一覧し、ブランドの問題点を解決し、理想の状態へと導く新たな視点を表現してみてください。自分が納得できる表現を見つけるのは、時間がかかるかもしれませんが、ここはウンウンと唸って、粘り強く考えて自分が気に入る表現を探っていってください。

■4 「ブランドコンセプト」まとめ

それでは最後に「ブランドコンセプト」のまとめをしておきます。
「ブランドコンセプト」とは【ブランドの目的を達成するための原理・原則を短く明確に表現したもの】であり、「ブランドコンセプト」は課題の解決のための原理・原則となり、行動の指針を示し、ブランドの本質を保ちながら、ビジネス全体を動かす「推進力」を与えてくれます。

その働きは大きく4つ。
①「力を束ねる」。優れた「ブランドコンセプト」は力を一点に集中させます、ブランドすべての活動にスピードとレバレッジを効かせます。
②「在り方を決める」。「ブランドコンセプト」は企業や事業、商品、サービスの在り方を決め、ブランドのポジションを明確にします。
③「行動を指示する」。良い「ブランドコンセプト」は現在から未来にかけて何を行動すべきかを喚起し、指示します。
④「価値を最大化する」。これが「ブランドコンセプト」の最も大事な働きです。企業や商品が持つポテンシャルをすべて引き出し、世の中に対しブランドの価値を最大化します。


優れた「ブランドコンセプト」つくりのポイントは情報を集め、整理し、ブランドの問題点と問題解決の視点を探ることから始めること。そして、情報の組み合わせによって新たな視点を発見し、言語化することです。

「ブランドコンセプト」の言語化にあたっては、“わかりやすく明解で、なおかつ短く”を意識してください。

ぜひ、この記事を参考にしながら、優れた「ブランドコンセプト」つくりに取り組み、ブランドが抱える問題点の解決を目指してみてください。今回は以上です。ありがとうございました。